突然の激しい光に驚いた司祭が戻ってくる。
そこで腰を抜かした。
同じく驚いて座り込んでいるサファイアと、棺から起き上がった“死体”。

「サファイア!! お、お前、何をしたっ?!」

司祭の怒号が飛んでくる。
まるで寝起きのようにキョロキョロと辺りを見回す“死体”は、傍らでこぼれそうなほど瞳を見開く少女に目を止める。
そうしてから、壁に立てかけてあった箒を振り上げる司祭に目をやる。

「汚らわしい、汚らわしい、邪な力の小娘め!!
これでは割に合わない!! 貴様の受け入れなど断ればよかった!!!」

何も考えられなかったサファイアの頭の中に、また1つ真実が浮かぶ。
そうか、私はお母様にお金と共に捨てられた存在なんだ。
少し考えればわかった事。あの司祭が、他にどんな理由で私を引き取るというのか・・・――

とめどなく溢れる涙。
出ていけ、出ていけ、と叫ぶ司祭の声。
腰が抜けて立てない。
いっそ、殺された方が・・・――

「何だかわかんないけど、あのオッサン、すっごいムカつくね!」

“死体”は言葉を発した。
そして、棺から立ち上がると、へたり込んでいるサファイアを両腕で抱き上げる。

「悪魔め!! 犯罪人め!!
死んでしまえ!!!」

“死体”の青年は笑い飛ばしながら、サファイアを抱えて教会を飛び出す。
すっかり夜更けだった。粉雪が舞っている。

「俺があんなところから連れ出してあげる!
いいでしょ? あんなところにいるよりもさ!」

青年に抱えられて行く最中、教会裏の墓地が目に入る。


――『いってらっしゃい』、と見送られた気がした。


-13-


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