「総員、戦闘開始!!」
カレイドヴルフ騎士団長のスタグレーが号令を発する。
装備を固めた騎士達が、迫りくる魔物を撃退しにかかる。
王都の隅の魔法学校にも魔物が押し寄せてくる。
幼い生徒達は学長と共に校内で籠城し、教授陣と上級生が魔物を迎え撃つ。
初等科の生徒は10にも満たない年の子供達ばかり。恐怖に震えて泣き叫んでいる。
「恐れるな!!
我々は君達生徒を必ずや守り抜いて見せる!!
君達も知っているはずだ。先生達の強さを!! 有能な上級生達を!!
それでも怖い者はワシにしがみついておれ!!
このワシ、学長ヴァリスが責任を持って君達の命を保証する!!」
校舎を背に、次々と魔法を放つ者達。
「ええい、この大事な時に何を呑気に寝ているんですかねぇ先輩は!
まったく、僕は戦闘向きじゃないというのに!」
「えぇっ?! そんな威力の魔法を使えるのにそう言うんですか、シュタイン先生?!」
教え子達を傍に控えさせながら久方ぶりの本気を見せつける、一准教授。
それでも限界はある。段々呼吸が荒くなってくる。
「くっ・・・そろそろ限界が・・・」
「アンリ!! んもうっ! それでも私の弟?!
見てられないわ!!」
女性の声。
同時に、次々と魔物を貫く岩の柱が地面から突き出る。
「え・・・、なんで貴女が、」
「私だって責任くらいとるわよ!!
この重要な時にクレイズを使い物にならなくしたこの私がね!!」
ローディだ。
そして彼女の後ろから、魔物を次々とへし折る戦車のような大男が走ってくる。
「こちらは任せろ!!
こんなところでしか役に立たないからな、俺の腕力は!!」
「あの男は?」
「ま、私の相棒よ、相棒。
クレイズの身は心配しないで。1人護衛がついてる」
「よく言いますね本当に!!
全て片付いたら勘当ですよ姉さん!!」
「事情を説明する時間くらいは欲しいものだわね!!」
駆けつけた助っ人の甲斐もあり、戦況を徐々に巻き返していく。
「ったく、いいご身分だぜ。
こんな時に昼寝か?」
辛うじてその命を保たれているクレイズを見下ろし、グレンは苦笑いだ。
「もしお前が寝込んでなかったらどうだったか。
あっさり殲滅し尽くしちまうかもな。
ぶっちゃけ俺より強いだろ、お前?」
時々翼を持つ魔物が外から襲い掛かってくる。
だが、上空を監視する小型のドラゴンが、その魔物を叩き落としていく。
「ほーら、見てみろよ。可愛いペットだろ?
ダインスレフに流通してた奴ら、買い占めてきたんだぜ。
もちろん代金はお前に全額ツケておいたからな、起きたら感謝しろよ?
クハハハ!!」
返事のない話をぽつぽつと連ねていく。
「なるべく早く起きろよ、クー。
寝坊すると可愛い嬢ちゃんが烈火のごとく怒るぞ。ククッ」
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