緑の国のバルドルでは、そこに所属する傭兵達が総出で魔物討伐に当たっていた。
「またタダ働きかよぉ!!
しかもなんなんだ、このヘンな魔物は!!
見た事ねーぞ!!」
「後ろだ後ろ!!
油断するな、こいつらそこらの魔物とは比にならねえ!!」
戦えない住民をギルドの中に避難させ、そこを囲むように陣形を成す傭兵達。
だが押し問答のように埒が明かない。
「おい!
なんかこっちくるぞ!! 気をつけろ!!」
一部の傭兵がそう叫ぶ。
その方向から白銀の光が切り込んでくる。
「なんだぁ、あの神父は?!」
「クソ強いぞ!! 何者だ?!」
「うるせぇテメーら!!
トークしてる暇あんなら手を動かせ手をォ!!」
漆黒の大剣を振り回す華奢な人物。
まだ成人していなさそうに見えるが、その戦闘力は傭兵に引けを取らない。
むしろ、百戦錬磨の剣士にすら見える。
――しかも、よく見れば女性のようだ。
「まさしくあれが戦乙女ってやつか?!
おい、お前ら!! あの子を援護しろー!!」
「ハッ! しゃらくせぇ。
アタシはただの刃だ。ガーリーさはとっくの昔にどっかに投げ捨ててきたぜ!!」
魔物を蹴散らしながら、彼女は空を見上げる。
飛び去る竜を追う、空飛ぶ船。
「・・・サファイア、そっちは任せたぜ・・・!」
彼女は飛空艇に目を向けた魔物を、素早く大剣で切り落とす。
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