飛空艇を下りると、森林地帯の入り口だった。
放棄された小さな教会がぽつんと立っている。
廃墟のようだが、井戸の傍で洗濯された上着が風になびいている。
「ここ、確か・・・」
サフィは教会に歩み寄る。
ふわふわと風に晒されているその黒い上着、見覚えが・・・――
ガチャ、と教会の扉が開く。
「あ? ってオイ、愛しのマイシスターじゃねーか!!」
ガーネットだった。
彼女は白いシャツの腕を捲り、水を運んでいたようだ。
「な、なんでガネやんがこんなとこにいんの?」
思わずアンバーが尋ねると、ガーネットは顔を歪めた。
「サファイアは知ってるはずだぜ。ここはアタシらが前にプロミスった場所だ。
しっかしここに来るなんて、なんかあったのかよ?
こちとらハイパー忙しいんだが」
「あ、あの、そこの森の奥が火事みたいで、来てみたら偶然」
「それ! それな!!」
ガーネットは突然声を大きくした。
「マジやっべーって!! くっそビッグなドラゴンがファイアーしてんだよ!!
さすがのアタシも敵わないってんで、仕方ねーから連れてきた怪我人を匿ってる」
「ど、ドラゴン?! 怪我人?!」
ドラゴンの話と怪我人の話と、どちらに反応すべきかとサフィは慌てている。
「ガーネット。あそこは確かアークエルフが住んでいる集落だったはずだ。
そこがドラゴンに襲われているのか?!」
ジストの問いにガーネットは頷く。
「アタシはここに住んでるんだが、朝からスモーキングなニオイがしてな。ちょっくら様子を見てきたんだ。
そしたらワイルドなレッドドラゴンが住人ごと焼き尽くしてんだよ。
もうあの集落はジエンドだな。生き残ったのはアタシが連れてきた2人だけ」
「な、なっ・・・?!
アークエルフの集落はもうここにしかないのに・・・!?」
「連中、中にいるぜ。トーキングしてみ?」
ガーネットに連れられて古教会に入る。
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