ラズワルドから返事が来たのは、翌日の事。

「1隻だ。1隻だけ譲り受けた。
旧型の貿易船だ。煮るなり焼くなり好きにしろと言われたから安心しろ」

「でかした、コーネル!!」

「すごーい!! 王子、やればできるじゃないですか!!」

「小娘の分際で馬鹿にしやがって」

はぁ、と彼は疲れ切ったようにソファに身を投げる。

「すぐに手配すると書いてあった。2,3日中にはカルル村に到着するだろう。
後は小娘、貴様の担当だ」

「任せてください!
船が到着次第、あの設計図と船の構造を加味したボクオリジナルの設計図が誕生する予定ですから!
ふっふー、テンション上がってきた!」

カイヤは鞄から紙の束を取り出す。

「現時点での概算ですが、おおよそ必要な量の資材を書き出してみました。
木材、鉄、石炭、その他もろもろ・・・」

「たまげたなぁ。お前ほんまに学者なんやな」

「もう、まだ信用してなかったんですか?」

「はは、悪い悪い」

一行はすぐに聖都からカルル村へ向けて出発する。
幸い降雪も落ち着いており、徒歩で移動できる環境ではある。
気が付けば、もう春がそこまで来ている。





アルマツィアの玄関であるカルル村は、以前のように蔓延する謎の病も落ち着き、のどかな田舎村へと戻りつつあった。
教皇からの勅命を受け取っていた教会の神父イアスが、ジスト達を歓迎する。

「皆さん、お久しぶりです。その節は大変お世話になりました。
カレイドヴルフから1隻、船が届いております。
格納庫にございますので、どうぞご自由にお使いください」

「ボク、見てきます!
あ、王子も来てください。一応ね」

「俺が見たって何もわからないぞ」

「なんかあるでしょ、多少は!」

突っ走るカイヤに引っ張られ、コーネルは渋々ついていく。



「それで、問題の作業員の手配だが・・・」

「ブランディアにでも聞いてみるか?
ティルバならなんか手配してくれるんちゃうかな」

「おお! それは有難い。
お願いできるだろうか、メノウ?」

「あぁ」

流れに乗るようにアンバーも声をかけてくる。

「俺は傭兵に声かけてみるよ。
何かあったら頼れって兄貴に言われてるしね。なんとかしてくれるっしょ!」

「ありがとう。百人力だな!」

「カルル村にたくさんの方がいらっしゃるんですよね?
私は皆さんのお食事を頑張って作りますね」

「サフィも、ありがとう。
うむ、これならうまくいく気がしてきたぞ!」

傍らで聞いていたカルセは小さくため息を吐く。

「僕は何ができるんだろう・・・。
人脈もないし、料理もできないし・・・」

ぼやいたところで、彼は何かを思いつく。

「ジスト。やっぱり人は多い方がいいよね?」

「それはもちろん」

「・・・うん。わかった。ダメ元で声をかけたい人がいるんだ」

早速彼は誰か宛てに手紙を書きはじめる。



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