ガタンゴトンと慣れない音に運ばれ、ジスト達は大陸を横断する。
仲間達はそれぞれ思い思いに車内を過ごす中、コーネルとアクロは2人揃って窓からの風に当たっている。
いくら穢れた空気とはいえ、当たらないよりはマシなのだ。

鼻歌を歌いながら紙に何かを描き込んでいるカイヤの横から、ジストが覗きこむ。

「設計図か?」

「そうです!
何かの参考になるかと思って、ちょっと記録してるんです」

曲がりなりにも学者のタマゴだ。ジストにはわからない記号や数式も添えられている。

「もしも飛空艇の設計図が手に入ったら、カイヤなら解読できるかもしれないな。
その時は任せたぞ!」

「ま、任せてもらえるんですかっ・・・?!」

青い瞳がキラキラと輝く。

「どの道、君以外に機械に触れられる者などおるまい。
フフフ、我々はついに空を手にするのだ・・・!」

「ちょっとオーバーテクノロジーっぽいですけど、世界の危機ですからねっ!
ただ、全部終わったらちゃんと元に戻しましょう。
それこそ、博士が言うように行き過ぎた文明で身を滅ぼしかねないですから」

汽笛が鳴る。
遠巻きに、街の残骸のようなものが見えてきた。

「レーヴァテイン・・・あそこが・・・」

おもむろに歩いてきたアンバーが声をかけてくる。

「18年前に滅びたんだって。そんなに前から物騒な世の中だったんだね」

「アンバーさん、詳しいんですか?」

「いやあ、隣の車両に乗ってた可愛い子に聞いてきただけ~。
女の子の可愛さは何処へ行っても変わらないね!」

「・・・サフィに怒られますよ、アンバーさん・・・」




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