「一体どういう了見だ貴様ら」
アンバーに引き摺られるように連れてこられたアクロはコーネルそっくりの不服そうな顔を浮かべている。
「アクロさん。ボク達これから世界を渡ろうと思うんです。ちょっと協力してほしいんです」
「は?!」
無表情を貫いていたアクロが素っ頓狂な声を上げる。
「いや、待て。どういう事だ。貴様ら一体何を・・・」
「姫様の提案ですよ。だったら乗るでしょ、アクロさん?」
「ジストの・・・?」
当の本人達はこの場にいない。
訝しげにアクロは一行を見回す。
「ほら、噂をすれば。戻ってきた。
姫様~」
「なんだ、アクロではないか。どういう状況だ?」
「メノウさんの名案です。アクロさんに同行してもらいませんか?
異世界なんて何が起きるかわからないでしょ?
案内役です」
「なるほど!!」
ジストはポンと手を打つ。
「来てくれるか、アクロ?」
ぐっ、とアクロはたじろぐ。
「しかし・・・」
「これは私が生き残るための過程だ。その過程に君の力が必要なのだ。
さぁどうだ? なんなら報酬を払うぞ」
「・・・くそっ」
アクロは舌打ちする。
「いいだろう。ジストが望むのであれば。
報酬は・・・――お前が生き残るのなら、それ以上の見返りはない」
承諾してから、彼は溜息を吐く。
「こんな世界は初めてだ・・・。誤算だった」
「貴様、少しでも怪しい動きをしてみろ。俺が殺すからな。
あと必要以上に俺に近づくな。頭が割れる」
威嚇するコーネルを皆で宥める。
「ふん。単細胞め。俺に喧嘩を売るならば、まずはその頭痛を克服する事だな」
「キッサマ・・・!!」
――前途多難そうな道が始まる。
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