荻の風月。1日。

もうすぐあなたに会えるのね。
ずっと待ち望んでいた、私とアメシスの子。
きっと男の子だろうと、占い師は言っていたわ。
私達はどちらでも構わないのだけれど。
あぁ、早く会いたい。名前はもう決めてあるの。



荻の風月。16日。

今日はとてもお腹が痛い。
ひょっとしたら明日にでも、あなたが生まれてくるかもしれない。
待ち遠しい。少し怖いけれど、あなたとなら頑張れるわ。
元気に生まれてきてくれるといいけれど。



荻の風月。17日。

といっても、もう18日になるわ。今まで疲れてずっと寝ていたの。
今日はあなたが生まれた日。やっと会えた。
アメシスも喜んでいたわ。早速あなたを抱いて、本当に嬉しそうに。
アメシス譲りの綺麗な黒髪。目の色はどっち似なのかしら。
可愛い可愛い息子。ねぇ、カルセドニー。どうか幸せな日々を歩んで。





雁渡の月。10日。

あぁ、なんという事なの。
あんなに信じていたのに、彼は全てを裏切った。
お願い、返して。息子を返して。
どうして皆、彼を信じたままなの?!
まるで私だけ世界から切り離されたようだわ!!
私の子はカルセドニーただ1人。間違えるはずがないの。



雁渡の月。21日。

いやだ、いやだいやだいやだ。しにたくない。こわい。
おかしい。わたしはまちがってない。
レムがまちがってるの。みんなみんなまちがってるの。
なんで?どうして?
レムはわたしをどうするつもりなの?



かりわたしのつき さんじゅうにち

わたしはもうだ め

 こん なのひど い

たすけて
 たすけて

むすこをかえして
 わたしはもうしんで しまう
あいた いよ

たす けて





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