「め、メノウっ?!」
「カイヤ・・・はよ・・・カルセを助けや・・・!」
「ちょ、ちょっと待ってくださ、そんな、だってメノウさん・・・」
「さ、サフィ! メノウをっ・・・!!」
「はい!すぐに!!」
動揺のあまり手元が狂うカイヤは何度もビンを落としながら解毒剤を探す。
慌ててカルセにそれを注射していると、傍らから鈍く引き摺る音がした。
ズル、ズル、とカイヤに迫る。
「もはや誰でも良い・・・道連れに・・・!」
「や、やだ、やめてくださっ・・・」
ガシッ、とカイヤの細い足が掴まれる。
ずいずいとヴィオルは起き上がると、カイヤの首に手を伸ばした。
「きゃあああっ!!」
思わず恐怖を叫んだカイヤ。
ざしゅ、と鋭い音がしたのはその直後だった。
ゴロ、とヴィオルの死に顔が転がる。
「ひっ・・・?!」
赤黒い液体を浴びた大剣の刃。
ゆっくり見上げれば、メノウが立っていた。
傷は癒えていたが、流れた血が彼の顔を濡らしている。
「大丈夫か、カイヤ」
ただ静かに、彼は問う。
「う、ううっ、・・・」
ガタガタと震える彼女に、サフィが駆け寄る。
ぎゅ、と抱きしめた。
「見ないで・・・。そう、ゆっくり、呼吸を整えて。
立てますか、カイヤさん?」
「・・・うん・・・」
「おいで、カイヤん。ちょっとここから離れよう」
カイヤを抱き、サフィはアンバーと共に部屋を出る。
「・・・メノウ」
「あぁ」
「ありがとう。すまない・・・」
「もう、えぇんや。もう」
「カルセも、・・・すまなかった。
怖かっただろう。よく頑張ってくれた」
「・・・ジストの役に立てたなら、いいよ・・・」
か細く声がする。
「おい、立てるか?
・・・肩を貸してやる。ほら」
コーネルはカルセの腕を引っ張り上げる。
おぼつかない足取りで、彼らもサフィ達を追った。
「なぁ、メノウ」
「なんや」
「少し祈りを捧げたいのだが、構わないか?」
「あぁ。好きにせい。
ここでのワイの仕事は終わった」
ジストはせめてヴィオルの姿を元に戻そうと、丁重に扱う。
彼の手から指輪を外し、自らの右手の小指に嵌めた。
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