アルマツィアの宮殿に戻ったジスト達は、クロラへの謁見を兵に申し出る。
通された部屋はクロラの私室ではなく、玉座の間だった。
リシアと共に、クロラはその部屋に立っていた。
「まさか本当にルベラを始末するとは。
偵察に入れた兵も青ざめていましたよ」
抜け目のない男だ。
聞けば、ジスト達の監視目的で兵を1人仕込んでいたという。
「さすがに要塞1つを失ったのは痛手ですが、今後の不安の芽を摘んでくださった働きに免じて不問とします」
さて、とクロラは向き直る。
「ここからが本題です。
――先程、教皇アルマス9世は息を引き取りました」
「なに?!」
仮にも父が死んだというのに、クロラは随分とさっぱりしている。
彼の代わりとばかりに、リシアはしくしくと泣いていた。
「つまるところ、残念ながら私は教皇の位を継ぐ事になってしまいました。
まぁ、ジスト殿への褒美に融通が利きやすくなったとはいえるのですが」
「せめて悼む時間をくれたまえ・・・」
神妙な面持ちで、ジストは祈りを捧げる。
「今後アルマツィアは先代や兄らの後始末で少々忙しくなるでしょう。
ミストルテインへの援助は準備が整い次第開始します」
「ありがたい」
しみじみとそう述べる。
これで壊れた王都はなんとかできるだろう。
「それで、ジスト殿。コーネル殿にも少々込み入った話があります。
お二方だけ、少し私に時間をください」
「何か重要な話なのか?」
「極秘の話です。申し訳ありませんがそういう事ですので」
ジストとコーネルは顔を見合わせた。
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