カルセの言う通り進めば、倉庫に辿り着く。
確かに、外に警備兵が1人立っており、裏側には誰もいない。
こっそりと倉庫に近づき、窓をゆっくりと開けて侵入を試みる。
「物資の保管庫みたいですね。兵糧がたくさんある。
こっちの階段が地下に繋がっているみたいです」
静かに音を立てず、階段を下りる。
予想通り、地下の廊下に繋がっていた。雪解け水が地下水として流れているが、静まり返っている。
「今度はこっちがいいかな」
再度詠唱したカルセは、魚のような生物を呼び出した。
傍らを流れる水の中にそれを放つ。
「便利だね、召喚術って。俺もできないかな?」
「召喚術っていうのは血統で発現する力です。
残念ながらアンバーさんからはソレを感じませんね」
「ううっ・・・カイヤんに夢壊された・・・」
ピチピチ、と魚は跳びながら泳いでいく。
「・・・ん。人がいる。
でも抜け道がない・・・どうする、ジスト?」
「仕方あるまい、正面突破だ!
数は?」
「1、2、・・・4人かな」
「いくぞ!!」
戦闘態勢に入った一行は、すっかり油断していた4人の兵に斬りかかる。
「ぞ、賊だ・・・!
始末、始末しろー!!」
「うわあああ!!」
剣で次々と薙ぎ倒し、すぐに決着がついた。
伸びている警備兵の頭を掴んで引っ張り起こしたコーネルは低い声で尋ねる。
「貴様らの主犯はどこだ?
吐かなければトドメを刺すぞ」
「ひ、ひぃっ・・・!!
お、俺達は知らない!! 本当だ!!」
「では誰の命で動いている?」
剣の刃が首に触れ、ひいい、と警備兵は悲鳴を上げる。
「黒づくめのエルフ男とゴテゴテなドレスの女の子だ!
よくわからんが、あいつらはルベラ様のシモベとして少し前からここにいる!!
俺達が知っているのはそれだけだ!!」
「そうか。ご苦労」
剣の柄で鳩尾を殴られた警備兵は、ぐえっ、と情けない声を上げて気絶した。
「“黒づくめのエルフ男”と“ゴテゴテなドレスの女の子”?
誰か外部の者が関わっているのだろうか・・・?」
「・・・なぁ、ジスト。覚えはないか」
しばらく考え込み、ジストは目を見開く。
「まさか!」
「死んだと思っていたが・・・」
「はっ・・・!
もしかして、以前船の上で戦った方々でしょうか・・・?」
「・・・いいだろう。あの時の俺とは違う。
見ていろ、絶対に捻り潰してやる・・・」
静かに闘志を燃やすコーネルに呆れるしかない。
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