宮殿の大扉の前は厳重に警戒され、門番が目を光らせている。

「失礼。私は緑の国のジスト・ヴィオレット・アクイラ。
こちらは青の国のコーネル・ヴィント・オリゾンテだ。
教皇殿に謁見を申し込みたいのだが、融通を利かせてはくれまいか?」

「なんと、いらしておいででしたか。ジスト殿下、コーネル殿下。
そういう事ならば少々お待ちを。
ただちに確認して参ります」

門番は軽く会釈すると、扉の奥へ消える。
少し待っていると、門番はジスト達を迎え入れてくれた。

「お足元にご注意を。宮殿内の数か所が崩落しており、騎士団も使用人達も混乱しております」

「リシアは無事なのか?!」

「え、えぇ、リシア様はご無事と聞いております」

「そ、そうか・・・」

安堵のあまりフラッとよろめくコーネルを引っ張り、ジストは上階を目指す。





「こ、コーネル!! ジストまで!!」

部屋にはリシアがいた。
ドレスの裾を軽く持ち上げ、彼女は駆け寄ってくる。
その勢いで、彼女はコーネルに抱きついた。

「あぁ、コーネル!! コーネル!!
やっぱり来てくれてたのね!! 私、私・・・っ!!」

「お、おい、落ち着け・・・。
教皇とクロラは無事なのか?」

「そ、それが」

リシアは泣き腫らした瞳からさらに大粒の涙をこぼす。

「クロラ様は無事。
でも教皇様が大怪我をされて・・・!
あの砲撃の時、私とクロラ様を庇って・・・」

「リシアよ。すまないが少し聞かせてくれ。
先程の襲撃の首謀者は誰か、目星はついているのだろうか?」

ジストの問いに、リシアは俯く。

「わからないわ・・・。
でもクロラ様は何か知ってらっしゃるみたい。
私が聞いても答えてくれないの」

「・・・これは・・・」

「あぁ。臭うな」

ジストとコーネルは顔を見合わせる。

「リシア。君は安全な場所で待機しているのだ。
後の事は私達がなんとかしよう」

「えっ、でも・・・危ないんじゃ・・・」

「今更だ。いいからお前は父上にこの現状を知らせる手紙の1つでも書け」

「・・・わかったわ」

リシアの部屋を後にし、ジスト達は皇子の部屋へと向かう。




-206-


≪Back | Next≫


[Top]




Copyright (C) Hikaze All Rights Reserved