「お姉ちゃん、か・・・」

サフィはぽつりと呟く。

「マジで覚えてねーのか?!
姉ちゃん最高にショックだぜ」

「ごめんなさい。
でも・・・なんでかな、懐かしいって気持ちはあるんです」

「そりゃお前、アタシと一緒に生まれて育ったんだぜ?
懐かしさのカケラもねぇって言われたらさすがに泣くぞ」

「なーんだ。
それならそうと言ってよ、ガネやん。
そういう事なら、俺達だって死にもの狂いで君らから逃げたりしなかったのに」

「言ったじゃねーか。
アタシとトゥゲザーしようぜって」

「・・・ごめん、やっぱ不審者としか思えなかったかも」

それにしても、とアンバーはサフィの頭を撫でる。

「よかったねぇ、サフィ。家族が見つかって!
これからどうする?」

「私、は・・・」

サフィはガーネットをまじまじと見つめる。

「サファイア、お前の好きにしな。
アタシはやっと今までの旅の目的が果たせた。この後は適当に暮らしてく」

「私、私・・・」

ぐっ、とサフィは膝上の自分の手を握る。

「ジストさん達と、行きたいです。
私、今まで逃げるように、ここまで来たけれど・・・
私を受け入れてくれたジストさんに恩返しがしたくて。
何ができるか、は、ちょっとまだわからないですけれど・・・」

「オーケー、それでいい。できる事なんざ後からついてくる」

「ガネやん、君の仲間達は・・・――」

「アタシらの“約束の場所”がある。アタシはそこであいつらをウェイト、ってな。
・・・例えあいつらがもう来なくても、アタシはそこにいる。
サファイア、お前にだけその場所を教えてやる。
寂しくなったらいつでもカモン?」

「ふふっ。わかりました。
お姉ちゃんが恋しくなったら会いに行きますね」

「なーんかムズ痒いぜ。
“お姉ちゃん”なんて呼ばれた事ねーからよ」

「あ、あれ?
じゃあ私、子供の頃、なんて・・・?」

「“シス”ってな。
アタシらの両親の訛りの延長だ。シスターのシス」

「・・・ガネやんのその喋り方って訛りだったんだ・・・。
って事は、昔のサフィも・・・」

「き、気付かなかった事にしておいてくださいぃ・・・!」



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