エマイユが持つ水晶に淡く白い光が脈打つ。

「あの神父女の志はご立派な事だが、占いなんて胡散臭いものを信じていいのか?」

「ふむ。お主、姉がおるな。
今でも一緒に風呂に入っておるのか?」

「は?! ちょ、待て、何が見えている貴様!!!」

やれやれ、とジストは苦笑いだ。

「な、なぁ、なんでうち、こんなとこ連れてこられたんかな?
おとん、なんでここに・・・」

「何も心配するな。
君の父親は立派な男だ。君を深く愛しているからこそ、ここまで来た」

「ほ、ほんま?
おとん、うちのこと好きかな」

「当たり前だろう。どうしたというのだ?」

暗い階段を下りながら、ハイネはそわそわと落ち着かない。

「うち、ワガママ言うたから、嫌われたんやないかって・・・」

「ワガママって、どんなことを言ったの?」

カルセがそっと尋ねると、ハイネは頬を掻いた。

「学校行きたいって、言ったんや。
その後から、おとん、家に全然帰ってこーへんくなった」

「学校ですか?
ブランディアにはそこまで大きい学舎は見当たりませんでしたけど」

「んーん、青の国のや。おっきい学校!!
うち、いつかあそこ行きたいねん」

「ん・・・?
カレイドヴルフの魔法学校か?
はっ、あそこは富裕層の教育機関だ。たかが傭兵の稼ぎで・・・」

「いえ、王子。そういう事ですよ」

カイヤは腕を組んだ。

「カレイドヴルフ国立魔法学校。ボクの学び舎です。
あそこは学費がすごいんですよ。それこそ、お城の騎士をやっていても年俸が1学年分で吹っ飛ぶくらいには。
だからですか。メノウさんが、姫様の護衛なんていうほとんどボランティアみたいな仕事の傍らでも忙しそうに仕事をこなしているのは」

「お、おカネ・・・」

ハイネは目を丸くしている。

「くっ・・・そういう事か、メノウ・・・!!
本当に、すまない事を、私は・・・」

「落ち込むのは後にせい。
・・・厄介なのに見つかった」

階段を下りた先に立っていたのは、白衣の青年だった。


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