黒い夜空が広がる。
今宵の空に月の光はない。

「ジスト、迷いはないな?」

「あぁ。迷う余地などないさ」

石造りの無機質な建物の裏手に回り、木陰に身を潜める。
暗闇の中で目を凝らしていると、見つめていた先の扉がそっと開いた。

「ククッ。ビビッてこないかと思ったぜ」

ガーネットだ。
周囲の様子を伺い、彼女は顎を傾ける。
ついてこい、という意味だろう。

「ほんとに・・・信用するんですか? あの人」

カイヤが小声で尋ねるが、コーネルは鼻で笑う。

「今更引き返せるか。行くぞ」

「う、・・・」

後ろでカルセが頭を抱えていた。

「どうしたのだ、カルセ?!
具合でも悪いのか?!」

慌てて飛びついてきたジストをやんわり宥めてカルセは首を振る。

「なんでもない。ちょっと、頭痛がしただけ」

「本当に大丈夫なのだろうか」

「平気。早く行こう・・・」

4人はぞろぞろと施設の裏口へ入り込む。


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