日が沈み、夜が明ける。
そんな空の色を眺めていると、仲間達は本当にバラバラになってしまったのだと実感してしまう。
同時に、今は昏々と眠ったままのジストという存在がいかに皆を繋げていたかを思い知らされる。



「王子、いくらなんでもそろそろ休んだ方がいいんじゃないですか?
姫様の事はボクもカルセドニーさんも見てますから・・・」

買い出しから戻ったカイヤが出来合いの惣菜をテーブルに並べるが、彼は険しい顔で腕を組んだままジストの傍らを離れない。
ジストが倒れたあの日から数日、彼はずっと眠らずに彼女の傍にいる。

「はっ。わからないのか?
貴様らがあの野良犬と組んでいないという確たる証拠はないんだぞ」

「それは王子も同じです。
ボク達から見れば、王子だって信用していいものか」

「なんだと?!」

ガタッ、と立ち上がったコーネルを見て、やり取りを見つめていたカルセは座ったまま跳ねる。
カイヤはコーネルを鼻で笑い、食事を摘まむ。

「だってそうでしょう?
アクロとかいうアナタにそっくりな人もいた事だし、王子が本当に“コーネル王子”なのかなんてボクには証明できませんよ。
王子の皮を被った暗殺者が、ボク達の隙をついて姫様にトドメを刺そうとしているのかもしれない」

「言わせておけば・・・!」

先程の反動で転がっていた椅子を蹴り飛ばし、コーネルはカイヤを睨む。

「品がないですよ。モノに当たるなんて」

「くっ・・・!」

「もうやめようよ・・・」

黙って見ていたカルセはついに宥める姿勢に入る。

「もし今ジストが起きたら、僕達を見て悲しむよ」

「・・・それもそうですね。
という事で王子、ここまでですよ。
少し仮眠をとった方がいいのでは?
睡眠不足は苛立ちに繋がりますし、何より王子本人が倒れたらどうするんですか。
ボクは王子の面倒まで見たくないですよ」

「貴様は一言余計だ」

はぁ、と重いため息を吐き、コーネルは近くのソファに寝転がる。

「半刻後に起こせ。それで十分だ」

「はいはい、おやすみなさい」

「ふん・・・」

彼が寝入ったのを見計らい、カルセは近くにあった毛布をコーネルに被せる。

「ほんっと、素直じゃないですよね、王子って」

「しょうがないよ。
コーネルはジストがとても大事なんだ」

早く目覚めるといいね、とカルセはジストを眺めた。


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