「髪が白くなった?」
メノウは若干驚いた風に目を丸くする。
「見てくれ、この毛先を。
脱色されたかのように白くなっているのだ」
「ほんまや。なんやこれ」
「苦労すると白髪になるとかよく聞くけど、ジストはそんな風に見えないなあ」
「どうしたの?」
やってきたカルセを見たアンバーがあっと声を上げる。
「カルセもじゃん。ほら、ちょっと白い」
「あれ、ほんとだ」
「黒髪の特性とかでしょうか?
興味深いですね。メモメモ・・・」
「しかしカイヤ、私は過去18年間生きてきて、こんな事はなかったぞ?」
「あれ、そうなんですか?
なんでしょう、黒の国の気候が影響して、とか・・・?」
ブツブツと手帳に書きこむカイヤを余所に、ジストは自身の髪とカルセの髪に交互に触れる。
寝過ごして不機嫌そうに起きてきたコーネルも、2人を取り囲む一行に近づいてきた。
「何事だ?」
「見てくれ、コーネル!
私達の髪が白くなったのだ!」
「そんな馬鹿な話があるか」
口をついてその言葉が出てきたが、すぐに撤回される。
「まぁいい、髪の色が変わった事くらい何ともない!
カルセとお揃いだ!はっはっは!!」
「まったく、楽観的というか、ただの馬鹿者というか・・・」
「悪態をついている暇があったら髪を整えてくるといい、コーネル!
それでも一国の王子かね?!」
「姫様だってさっき同じような髪してたじゃないですか・・・」
時計は朝もそこそこといった時間を指し示している。
一行は出発の準備に取り掛かった。
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