一日中曇り空とはいえど、夜になればこの地も一層暗闇に落ちる。
久方ぶりに豪華な夕食が並んだテーブルを囲み、ジストも上機嫌の極みだ。

「あぁ~!やはりメノウの料理は素晴らしい!!美味すぎてどうにかなりそうだ!!
世界中の民がこの料理を食べれば世界平和に繋がるのではないだろうか?!
なぁ、コーネル?!」

「・・・ふん」

この時ばかりはコーネルも黙々と食べ続けている。文句の1つも叩けないほどの技量と認めざるを得ないようだ。

「カルセ、無理して食わんでいいぞ」

「ううん。おいしいから・・・」

カルセは少しずつスープを口に運ぶ。

「こんなにおいしいの、初めて、かもしれない・・・。
覚えてないだけかもしれないけど・・・」

「存分に食べるといいぞ!
メノウの料理を食べれば湯水の如く元気が出てくるからな!!」

「とか言って、姫様ばっかりいっぱい食べてるじゃないですか!!
こっちはボクがもらいますからねっ!!
あっ、ちょっとアンバーさん横取りしないで!!」

「喧嘩すんな、まだあるんやから・・・」

賑やかな食卓を眺めてサフィは微笑んでいる。





「たくさんの人と一緒に食事って、いいですね・・・」

後片付けをしていたサフィが呟く。アンバーは頷いた。

「そうだね。俺も昔、いろんな傭兵仲間と朝まで飲んで騒いだっけな」

「私は、皆さんと出会うまではそんな事ありませんでした。
教会では、いつも1人で作って1人で食べていたので」

瑠璃色の瞳が寂しそうに揺れる。
しかしすぐに頭を振って、くすくすと笑う。

「こんな楽しい時がずっと続けばいいのに、って思っちゃいます。
・・・でも、皆さん、それぞれ抱えているものがあるんですよね・・・」

アンバーが適当に洗った皿を洗い直しつつ彼女は思いを馳せる。

「だいじょーぶ。何も怖くないって。
俺がサフィを守るからね」

「ふふ、ありがとうございます」

夜も更け、それぞれが寝室へ向かった。

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