「よう、見つかったみたいだな」
ワイングラスを片手にグレンがこちらを向く。
「どういう事なのだ、グレン!
何を呑気に酒など飲んでいるか!!」
「だー!!お姫様は生真面目すぎんだろ!!
俺はもうクッタクタなんだよ。酒でも飲まなきゃやってらんねぇの!!」
「でもおじさん、その割に元気・・・」
「ちびっ子はいい子だから黙ってろって」
ジスト達は彼の向かい側のソファに座る。
「で、聞かせてもらいたいのだが。
カイヤは黒の国に行きたいそうだ。私達も同じ場所を目指している。
とどのつまり、私達と共にカイヤを連れて行ってやりたい」
「話が早い。俺はハナからそのつもりさ。
面倒な案件はあんたらに頼るに限る」
「それってつまり、グレンさんがこの人達にボクを押し付けたってことですか。
厄介払いに」
「半分正解だな」
ぐい、とグラスを傾け、彼は葡萄酒で喉を潤す。
「まぁ、なんだ。
俺がシロだったらお前を連れてダインスレフに行ってやってもいい。なんせ旧友の娘だからな。
ところがどっこい、俺も狙われてるときた。俺はあいにく我が身が一番可愛い。
お前まで守る余力はねぇ、ってな!」
ケラケラと笑う。
「だから、俺は事が済むまでトンズラかましてやるつもりでな。
お前はそこのお姫様達と一緒に行った方が満足いくだろ」
「確かに、飲んだくれの色狂いといるよりはマシですけど」
「おいおい、キツいぜ」
という事でヨロシク、とグレンは陽気に用件を託してきた。
「なんやねん・・・
どんどん人増えてくるな・・・」
「馴れ合いはいりません。ボクは独りでいいですから。
目的地までの単なる同行者ということで」
カイヤはボソッと冷たく言い放った。
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