家に戻ると、寝起きで覇気のない父親が面倒そうに包丁を動かしていた。

「おはよう、おとん!」

「お前は朝から元気やなー・・・」

「水!くんできた!」

ここぞとばかりに得意げな顔のハイネを見て和む。
偉い、偉いと大きな手で髪をくしゃくしゃに撫でられるのが、何よりもハイネが好きな事だ。

「眠り呆けとる連中を起こしに行ってくれんか?」

「うん!」

ハイネは楽しそうに廊下を走っていく。





「起っきろ―――!!」

がばっ!とハイネは布団を引きはがす。
朝日に照らされて唸り声が上がった。

「き、君は朝から元気だな・・・!
本当にメノウの娘なのか・・・?!」

「おはようございます、ハイネちゃん!」

「早く起きんと、おとんの朝ごはん食べられんよ?」

「むむっ!それは由々しき事態だ!
いざ食卓へ!!」

「私もお手伝いしに行きますね」

ジストとサフィを見送ると、後ろから足音がした。

「あっ、お兄さん・・・」

「まったく朝から騒がしい奴め・・・
俺は疲れているというのに」

「ご、ごめんなさい」

不機嫌そうなコーネルは、ふとハイネに視線を合わせようと屈む。

「おい、娘。
お前はあの父親をどう思う?」

「どうって?」

「どうせ、仕事にかまけてばかりでロクに構われていないのだろう」

「そんなことない!
おとんやさしいもん!」

むう、と小さな頬が膨れる。

「・・・そうか」

それだけ返すと、コーネルはさっさと立ち去ってしまった。

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