予想通り、メノウの家で先に休んでいた一行は目を点にしている。

「妹の間違いじゃないの?!」

「娘やて」

「マジで?!
え、え?!メノウさんって、俺とそんなに年変わらないよね・・・?」

アンバーは動揺のあまり顔を更に青くしている。

「ほら、挨拶せぇや」

「うう」

押し黙るハイネの頭に、ぽん、と手が乗る。

「すまん。人見知りやねん」

思ったよりも人数が多く、ハイネも落ち着かないようだ。

「俺、アンバーっていうんだ。よろしくね、ハイネちゃん♪」

「私はサファイアです。長いのでサフィって呼んでくださいね」

ニコニコと笑顔を見せる2人の姿に安心したのか、ハイネは若干頬を緩める。
そして奥で寝転ぶもう1人に目をやる。

「ほら、王子。挨拶くらいしたら?」

「知らん。ガキに興味はない」

「おー、怖!
ハイネちゃん、あんな無礼王子気にしなくていいからね♪」

「なんだと?」

「まったく、大人げない。
ハイネ、こいつはコーネルという。こんなのでも王子なんだ。
童話の中の“王子”と印象が合わなくて申し訳ない」

「ジスト、貴様っ!!」

「うん。だいじょうぶ。怖くないよ」

「なんて愛らしい・・・!くぅっ・・・!
この子は本当にメノウの子なのか?!」

「そらあんまりやで」

その賑やかさが珍しく、ハイネは段々緊張をほぐれるのを感じた。

「ハイネ、今日は何食いたい?」

「おとん、料理してくれるん?!
えっとね、えっとね・・・、オムレツがいい!」

「そんなんマシューんとこでも食ってるやろ」

「おとんが作ってくれたのがいーの!
ばばがタマゴくれたし!」

「はいはい・・・。
サフィ、台所立てるか?手伝ってくれ」

「は、はいっ!私でよければ・・・!」

「それじゃあ俺はハイネちゃんと仲良く・・・」

「私も参戦しよう」

「お前ら、手ェ出したらぶっ殺すからな」

「ヒィィ!!」

くだらない、と寝転びながらコーネルは舌打ちをする。
それでもどこか、引っ掛かるものがあった。

――親子、って・・・

――あぁいうものなのか。

-119-


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