細く白い指が曇った窓に跡をつける。
灰がかった青緑の静かな瞳が、夜の聖都をじっと見つめていた。
「クロラ兄さん!!」
ノックも忘れて扉が開く。
窓辺に立つ兄を見て、カナリーは駆け寄った。
「起きてて大丈夫なんすか?!」
答えはない。
カナリーはキョロキョロと辺りを見回し、椅子にかかっていたケープを兄の薄い肩にそっとかける。
「ジストさん達は・・・どうなりましたか?」
静かな問いに、カナリーは笑顔になる。
「大丈夫っすよ。ちゃんとオレ、働いたっすもん!
・・・教会の爺さんにはこっぴどく叱られたっすけどね!」
そう、と彼の兄――クロラは呟く。
「クロラ兄さん・・・やっぱり元気ないっす。
寝てた方が・・・」
「ルベラも、イオラも・・・
殺すなら、私だけを殺せばいいでしょうに」
あまりにも落ち着いた雰囲気にカナリーは一瞬の間で硬直する。
フラリとベッドに横たわると、クロラはそのまま目を閉じた。
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