聖都の中を流れる細い小川、そこにかかる橋の下に、ジスト達は身を潜める。
メノウが小型ナイフでコーネルの手枷を叩き割ると、ようやく自由の身となる。
「お前達、・・・」
普段の彼からは想像もつかないかすれた声でか細く囁く。
眼光こそ鋭さを残してはいるが、腕や首元には痣が浮いていた。
感極まったジストが何も言わずにコーネルを思い切り抱きしめる。
「放せ・・・あちこち痛むんだ」
「おお、それはすまない!!
・・・しかし、本当によかった。助けられて・・・」
「今回ばかりは礼を言うしかなさそうだ」
「礼ならメノウに。
彼もまた酷い傷を負っているのに、君を助けるために協力してくれたのだ」
チラ、とコーネルはメノウを見る。
当の本人は何も気にしていないように煙草を咥えてナイフをしまっているところだった。
「くっ・・・
傭兵などに借りを作るなど・・・!」
「こら、コーネル!」
くく、と小さな笑いが聞こえる。
コーネルは舌打ちした。
「あんた達、無事?」
頭上の橋から声がする。
見上げるとラリマーが顔を出していた。
「小川沿いに次の橋まで歩いて。
そこの穴から地下水道に入れるから」
「そんなところで一体何を?」
ジストが問うと、ラリマーはウィンクを返した。
「傭兵の隠れ家に案内してあげるわ」
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