地下牢の入り口付近に、捕らわれた際に奪われた武器が無造作に置いてあった。
それを素早く回収し、傍の通気口に飛び込む。

「カナリー!
どこへ向かうのだ?!」

「聖都の広場っす!!
あそこにある女神像の前、実は処刑台なんすよ!!」

人が1人這って行ける程度の空間を進み、外へ通じる格子を押し外して顔を出す。
様子を窺ったカナリーは後ろの2人に問題ない事を合図して外へ抜け出た。

宮殿を囲む石垣をよじ登り、門番達の目を盗んで向こう側へ飛び降りる。
建物の陰を選んで城下町へ進むと、広場方面に人だかりが出来ていた。

「あれは・・・」

「もうすぐ日暮れっすから、皆集まってきたんすよ・・・」

「しっかし・・・
あんな大衆の前でどうやってあんさん助けるんよ?」

大勢の民衆と、恐らくコーネルの周辺にいるであろう宮殿の者達。
全員を出し抜いてコーネルを助け出すのは一筋縄ではいかなさそうだ。

「オレが出て皆の気をひくっす。
その間に師匠達でコーネル兄さんを助けられないっすか?」

「そんな事をしたらカナリーがどうなるか・・・!」

「だーいじょーぶっすよ!
まずオレなら殺される事はないっすからね!」

白い歯を覗かせて親指を突き立てるカナリー。
ジストは頷いてメノウの方を向く。

「コーネルさえ助けられればいい。
血は流さないという事で頼む」

「無茶言うなぁ・・・。
まぁ、しゃーないか」

「じゃあ、いくっすよ~・・・」

3人は揃って広場へ駆け出す。

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