「ちょっと、メノウ?
あんたも疲れてるんだからおとなしく・・・」

探しに行こうとしたラリマーは、すぐ足元で座り込む彼を見て驚いた。

「メノウ?!」

「リマか・・・」

掠れた声を聞いて、焦ったラリマーがメノウの隣にしゃがむ。

「どうしちゃったのよ?
・・・って、ちょっとあんた!?」

彼の口元を赤い血が流れていた。

「・・・使ったの?
あの力」

「はっ・・・
アホやんなぁ・・・。名前聞いただけでぶっ飛ばしたくなってな。
ガキかっつーの。・・・アホらし」

「・・・私はね。あんたにその力を使って欲しくない。だって命を削るようなものよ、そんなの。
でも・・・使いたくなる気持ちは痛いほどわかる」

彼女は彼の背を撫でる。

「あの子達には言ったの?」

彼は静かに首を横に振る。

「・・・別に、知られりゃそれはそれでいいと思っとった。
でも・・・なんでやろな。“あいつら”には、あまり言いとうなくてな」

「メノウ・・・それって・・・」

「リマ。すまん。独りになりたい・・・」

「落ち着いたら・・・戻ってきなさいね」

彼女は素直に従って扉の向こうへ戻る。
目先に流れる地下水の音が響く。その静かな音を聞きながら、彼は懐かしい光景を思い出していた。

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