「ちょっと、メノウ?
あんたも疲れてるんだからおとなしく・・・」
探しに行こうとしたラリマーは、すぐ足元で座り込む彼を見て驚いた。
「メノウ?!」
「リマか・・・」
掠れた声を聞いて、焦ったラリマーがメノウの隣にしゃがむ。
「どうしちゃったのよ?
・・・って、ちょっとあんた!?」
彼の口元を赤い血が流れていた。
「・・・使ったの?
あの力」
「はっ・・・
アホやんなぁ・・・。名前聞いただけでぶっ飛ばしたくなってな。
ガキかっつーの。・・・アホらし」
「・・・私はね。あんたにその力を使って欲しくない。だって命を削るようなものよ、そんなの。
でも・・・使いたくなる気持ちは痛いほどわかる」
彼女は彼の背を撫でる。
「あの子達には言ったの?」
彼は静かに首を横に振る。
「・・・別に、知られりゃそれはそれでいいと思っとった。
でも・・・なんでやろな。“あいつら”には、あまり言いとうなくてな」
「メノウ・・・それって・・・」
「リマ。すまん。独りになりたい・・・」
「落ち着いたら・・・戻ってきなさいね」
彼女は素直に従って扉の向こうへ戻る。
目先に流れる地下水の音が響く。その静かな音を聞きながら、彼は懐かしい光景を思い出していた。
-106-
≪Back
|
Next≫
[Top]
Copyright (C) Hikaze All Rights Reserved