一雨きそうな空を、窓越しに見つめる。
「クレイズ、戻ってたのね」
研究室に入ってきたのは。茶髪で眼鏡の女性。
「ローディか。何か用?」
「新聞。見た?
白の国でいろいろあったらしいの。
ほら、アンリとカイヤちゃんが今ちょうどあっちに行ってるじゃない?
大丈夫かしらって」
「もう赤の国に抜けたんじゃない」
「そうかしら・・・。
それにしてもクレイズ、あなた・・・私の弟とはいえ、よくアンリにカイヤちゃんを預けられたものね?
あなた、あの子をあれだけ過保護に育ててきたっていうのに。いきなり遠出に送り出しちゃって」
「ふ・・・。嫌な予感がするからね」
「そう」
ローディは何かを探るようにクレイズを見つめる。
その視線を嘲笑うように、彼は薄い笑みを浮かべる。
「あら、そろそろ時間。保健室に戻らなきゃ。
クレイズもこの後授業でしょ?
またサボって自習にするんじゃないわよ」
「忠告感謝するよ」
ローディが去り、扉が閉まる。
「今日くらいは真面目にやるさ。
・・・この後、どうせ自習が続くだろうからね・・・」
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