「おい、どういう事だ・・・」

物体として折り重なっていたはずの死体が、眠りから覚めたように次々と立ち上がる。
揃いも揃って、重傷を負ったはずの自分達の体をぺたぺた触り、首を傾げている。

「あの娘、ゾンビを大量生産したんじゃ・・・」

「やはり本当に殺してはいなかったのだな、あの娘め」

コーネルはアクロの言葉に耳を疑った。

「また最後に抗ったのか・・・。
いつでもあの娘はその選択をする。
いっそすべての自我を失くして本当に殺してしまえばよかったものを」

「・・・貴様、何を言って・・・」

「まただ。また同じ。
・・・失敗だ」

「おい!!
さっきからブツブツと何を言っている?」

アクロはコーネルを横目で見る。

「俺はいつでも“俺”を殺してきた。
“今回”もそうするつもりだった。
・・・貴様はいつもここで死ぬ」

「人の質問に答えろ!!」

「・・・“俺”を生かせというのか?
――貴様は運がいいぞ、コーネル」

アクロは剣を鞘にしまった。

「しばらく泳がせてやる。
・・・もしもジストの身に何かが起きたら・・・
今度は貴様が死ぬ番だからな」

つかつかとアクロは広場を後にする。
コーネルは茫然と見送るしかできない。

「・・・奴は、俺、と・・・――」

広場の騒然とした音も、彼の耳には届かない。

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