「えぇっと、茶葉はどこかしらぁ・・・」

ゴソゴソと厨房の棚を漁るティファニーを、陰から密かに窺う朱色の瞳。
ティファニーはのんびりとした仕草で水を沸かし、茶葉を小さな袋に詰め込んでお湯に浸す。
心地良い香りと共に茶葉の色素が滲み出る。

「おい」

「はぁい?」

ティファニーが振り返る。

「この村、水はどこから引いてるん?」

「お水ですかぁ?
外にある井戸ですけどぉ・・・」

「井戸・・・」

つかつかと彼女に近づき、ティーポッドを奪う。
かなり長身な上に強面の男にいきなり持っていたものを横取りされ、ティファニーはポカンとした表情で彼を見上げた。

「えぇか、この茶は誰にも飲ませんな。お前も飲むな。
・・・外を調べてくる。安全だとわかるまで飲むなや」

突然一方的にそう言われ、ティファニーは何がなんだかわからないながらも頷くしかない。
メノウは奪ったポッドを傍のテーブルに置き、背を向けて厨房を去る。



廊下に出たところでジストと鉢合わせた。

「メノウ!ここにいたか!
今から妙な病を治す薬の材料を取りに行・・・」

「ちと気になった。外調べてからでえぇか?」

「ん? それは構わないが・・・」

「姫さんも来や。それなりの頭持ってんねんやろ」

メノウに連れられたジストは教会を出る事になる。

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