「ひゃー!!やっぱ寒いなぁ!!」
吐く息が白い。
よく見れば近くの水たまりには氷が張っており、桟橋から先の地面にはうっすらと白い結晶が積もっていた。
「こ、これは・・・」
完全に身を強張らせるコーネルは目を白黒させる。
寒い。あまりにも寒い。南国育ちの彼は体感した事のない気温だ。
打って変わり、同じように経験がないはずのジストは1人盛り上がって桟橋を駆けまわる。
「素晴らしい!!書物では見た事があったがやはり実物は違う!!
これが“寒い”というやつか!!実に愉快だ!!ハハハ!!!」
「ジストさん、あまり走り回ると滑って転んでしまいます・・・!!」
「なに、どうって事は・・・うわああああ」
盛大に転んだジストを見ていたメノウはやれやれと肩を竦める。
「ま、とにかく無事に着けてよかったってモンだぜ。
んじゃ、俺はここらで失礼するぜ」
「おお!そうか!
ありがとう、グレン!!また会えるといいな!!」
「今度はトラブルに巻き込んでくれるなよ、クハハ!!」
ヒラヒラと手を振り、彼は街の方へ去って行った。
「メノウ、黒の国へ行くにはここから更に赤の国を超えていく必要があったな?」
「あぁ。せやけど、白の国は広い。赤の国まで辿り着くまでがまず問題やね」
「ついでだし、レムリアさんの情報集めようよ。
俺、実はこの辺詳しいんだ。案内するよ!」
アンバーに連れられ、一行は近場の村へ足を運ぶ事になった。
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