ドシン!!と強い振動。
ぐっすり眠っていたジストが飛び起きるほどの揺れが船を動かした。

「な、何事だ?!」

慌てて扉を開けて廊下を見れば、逃げ惑う船客で混乱している。
近くで腰を抜かしている老人に声をかける。

「ワシらはもう終わりじゃー!!この船は沈むんじゃい!!」

「一体何があったと言うのだ?!」

「か、甲板に妙な連中が出たんじゃ!!
ありゃ殺人鬼の集団じゃい!!」

「殺人鬼の集団・・・?!」

座り込んで手を合わせ始めたその老人を介抱するように、他の客が小走りでやってくる。

「偶然居合わせた旅の方が戦ってくれているのですが・・・
相手は術士のようで・・・とても敵いそうにないんです!」

「もしかして、アンバーさんと王子様・・・?!」

蒼白になったサフィを宥め、ジストは後ろにいたメノウに目配せする。

「加勢しに行くぞ、メノウ!」

「つくづく運のないやっちゃのう・・・
了解」

3人は甲板へ至る階段を駆け上る。

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