下地区と中央地区の境目となる門に至れば、目先に白亜の城が現れる。
それこそがカレイドヴルフの王城、ジストが目指す場所だった。

「あぁ、久しぶりだ。私から足を運んだのは、もう何年前だったか」

ジストは城を見つめて感慨深く呟く。

「姫さんて、やっぱあの城におる王らと仲えぇのん?」

「あぁ。青の国を治めるオリゾンテ王家には、丁度私と同い年の王子がいてな。
幼馴染なのだ」

会うのが楽しみだ、と彼女はニコニコと笑う。

「さて。いくら私と言えども、いきなり城に現れて王を驚かす事は無骨というものだな。
まずは謁見の申し入れをしよう」

「この後どうするかは姫さん次第やけど、少し暇貰うてもえぇやろか?
ほんの数時間だけ」

珍しくメノウの方から提案され、ジストは何も考えずに二つ返事で許可を出す。

「うむ! 謁見までには早くても1日はかかる。
私が城へ行くまでに戻ってくるのならば自由にしていいぞ。
さすがにこんな城下町で刺客に襲われる事はあるまい」

「ん。ほんなら、ちぃとばかし出てくるわ。夜までには戻る。
せやな・・・そこの宿屋で落ち合うって事で」

「わかった。
・・・ところで、何をしに行くのだ?」

「んー・・・まぁ、ここのギルドに顔出しに、な」

そうか、と納得し、それ以上は聞かなかった。
2人は別れ、それぞれの用事を済ませる事にする。

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