ハイネが宿屋の廊下を歩いていると、窓の向こうを見つめていたイザナと遭遇した。
彼女は珍しく真剣な眼差しで遠くを見つめている。

「……どしたの、イザナ?」

「ハイネさん」

振り返った彼女は少し微笑み、駆け寄ってくる。

「ミー、少し考えていたのです。ルベラ様の事」

「え、教皇?」

はい、と頷く彼女は少し照れくさそうだ。

「もしお兄がミーにお願いするなら、ミー、もう一度ルベラ様のところに行こうかと思うのです」

それは彼女なりに考えた『王妹』としての気持ちだった。

「ルベラ様は碧の国を助けてくれました。
最初にお会いした時は……とっても、怖かったのデス。
でも今は違う。
もしかしたら仲良しになれるカモ……と、思ったのです。
お兄がブランディアの王様としてミーに命じるのなら、ミーはアルマツィアで生きる事も覚悟しました」

ヒューランは赤の国の王として、白の国に多大な借りがある。
ヒスイの采配でルベラが動かなければ、赤の国は碧の国と共に滅んでいたかもしれないのだ。
もしヒューランがルベラへ謝意を伝えるなら、王妹を嫁に差し出すのも有り得る話ではある。

「そっか……。そこまで考えてたんだね、イザナ。
ヒューランもきっと喜ぶと思う。
イザナもすごく変わったんだね」

「ハイ!
でもこれはきっと、ハイネさんと旅をしたからですヨ」

今度は笑顔で、お互いに挨拶を交わす。

「おやすみなさい、また明日。
素敵な夢を見られますように!」



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