カレイドヴルフ城、エントランス。
ハイネ達を見送るべく、そこには二人の国王がいた。
「いよいよ出発か。
ハイネ、ヒューラン。アメリを頼むぞ」
「は、母上!
だからそういうのは……」
はは、とヒューランから笑みが漏れる。
和やかな雰囲気を切り替えようと、コーネルがわざとらしく咳払いをする。
「ダインスレフの動向は、昨夜伝えた通りだ。
恐らく学会では国際的に多大な影響をもたらす“何か”を企んでいる。
それを突き止めるのが使命だ。
アメリ、真面目に取り組めよ」
「はい。必ず」
胸に拳を当て、アメリは頷く。
そこに横から現れたのはグランだ。
「出発なさるんですか。
せいぜい死なないようにがんばることですね」
「まったくお前は!
もう少し可愛らしい挨拶はできないのか!」
ピン、と額を母に小突かれ、グランは不服そうな顔をする。
そんな弟に目線を合わせ、アメリは屈む。
「グラン。お前にとってはその……納得がいかないかもしれないが、レムは危険だ。
お前が信じていい男ではない。
現に、私はこの目で見た。あの男はハイネを脅して殺そうとしたのだ。
あの男に入れ込んでは、お前まで狂わされることになる」
「もう、耳タコですってば。散々聞きましたよ、昨日。
僕だって一晩かけて受け入れるように自分に言い聞かせたんです。
……わかりましたから」
そうか、とアメリは弟の頭をポンと叩き、立ち上がる。
「では、行こうか諸君。
父上、母上、グラン。……行ってきます!」
「あぁ、気を付けるんだぞ」
こうしてハイネ達はカレイドヴルフ城を発った。
対岸の陸に渡る船に乗り、王都を後にする。
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