この世界は、おかしい。
いいや、“正しい”はずだった。
そうなるように“修正”してきたのだから。
なのに、意図した歴史とは違う世界に染まっていく。
そうやって“誰か”に塗り替えられた世界の未来は、俺には見えない。
いくつもの歴史を渡った俺だけが知る、“正しい”道筋。
それだけが、俺の答えだ。
その未来だけが、俺の終着点なんだ。
他の可能性など、これ以上はいらない。
また無限回郎に閉じ込められるのはもう沢山だ。
(俺はただ、救いたいんだ)
(だから、その邪魔をする存在は)
(すべての世界から消し去ってやる)
鉛色の瞳は鮮烈な“赤”を見つめる。
いくつもの世界を駆け抜けていく、とある少女の姿。
その背後にチラつくのは、最愛の人にして対極の存在。
(何故、望まないんだ。お前は)
(どうして、いちばん遠い場所に行こうとするんだ)
(お前はいつもいつも、俺を置いていく……――)
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