王都の外れで待機していたヒューラン達。
ハイネが風穴の開いたシエテを引きずって戻ってきたことに仰天し、真っ青になる。

「だ、大丈夫か、ハイネ?!」

とりわけ焦っているのはヒューランだった。
何ともないよ、と笑えば、彼は膝に手をついて深く溜息を吐く。

「だから俺はやめろと言ったんだ、ヒスイ。
さっき遠くで聞こえた銃声、ひょっとしてあれはブランディア兵か?
やっぱり助けに行けばよかった」

「アホ! 王都にノコノコとワイらが行ってみ?!
観光じゃすまんぞ!」

すかさずアメリがヒスイの脚に蹴りを入れる。

「元はといえば君が無茶ぶりをしたからだろうが、このアンポンタン!!
怪我はないか、ハイネ!!
私はもう心配で心配で……ッ!!」

「大丈夫、平気だってば!
それよりシエテが……」

ホムンクルスの怪我はどうしたら治るのだろう。
人間の薬は効かないだろうから、ハイネの出番はなさそうである。

「オゥゥ……トテモ痛そうですネ……。
オデコが底抜けなのデス」

普通に暮らしていればおよそ聞きそうにない言葉を呟きつつ、貫通している穴を恐々覗くイザナ。

「ふむ、だったら埋めてやればいいのではないか?
ホムンクルスは魔力で動いていると聞いた。その穴を塞げば、駄々洩れている魔力もせき止められるだろう。
止血と同じさ」

「砂でも詰めとけ。なんでもええんやろ?」

容赦なく地面の砂を掴んでシエテの額の穴を埋める。
見ているだけで気が遠くなりそうだ。



銃創を塞いでしばらく寝かせておくと、おもむろにシエテが起き上がる。

「ふあ、よく寝た。
アレ、もう終わったの?」

「……ほんまに治ったんかいな」

彼が意識を取り戻したと同時に、傷がみるみるうちに治り、埋め立てていた砂がザラザラとなだれ落ちる。
最後の一粒まで流し終わると、傷は完全に塞がっていた。

「で、戦果のほどを聞きたいんやけど」

「うち、会ったよ。
アガーテさんと……メノウって人」

ヒスイは食いつくように視線を向けてくる。
事の顛末を語って聞かせると、彼は腕を組んで黙り込んだ。




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