シエテについていくと、また別の牢が並ぶ部屋に辿り着く。
えーと、と中身を吟味するように歩くシエテは、あっと声を上げてある牢の前へ走っていく。
「お兄!!」
「イザナ!!」
ヒューランが駆け寄ると、牢の中からイザナが満面の笑みで迎えた。
「お兄~!!
会いたかったヨー!!
ヒトハダ恋しいネ!!」
「げ、元気そうだな」
とりあえず妹の安否を確認し、ヒューランは胸をなでおろす。
その鉄格子をシエテが握り、先ほどと同じように盛大に取り外す。
一体どれほどの怪力を持っているのだろう。
「おうおう、捕まっとった連中みんなここか?」
イザナの後ろにはラリマーとベティがいる。
「助かったわ……。もうどうなるかと……」
「びええ~~! お外! お外出られます~!!」
「え、イザナだけでしょ?」
「空気を読めガキ」
ゴッ、とこめかみを拳で挟まれ、シエテはアハハと笑う。
「2人連れて行かれちゃったわ。
どこかのシスターだっていう子はもう何日も戻ってこないから、もう……。
あとさっき、赤い髪の女の子がイザナの身代わりに」
「ハイネか」
「ヘンな子でしたねぇ~。
ラリマーさんとベティのこと、知ってるみたいな……」
そんな会話を交わしていると、向こうから速足の音が響いてきた。
「チッ、誰か来たか!!
おい、そこの美人さん達よ、立てるか?
ズラかるで!!」
「あら、あんたすごい私好み……」
「ベティ――――!!!!」
遮るように大声が響き渡った。
女性の声のようだ。
「この声……お、おば様?!」
ばっ、と飛び出したベティに突進するように飛びついてきた人影。
「ベティ!! ベティ!!
無事か?! ケガしてねーか?!」
「お、おば様~!!
ふえええん!! 怖かったですぅぅ!!」
茫然とする一行の前で繰り広げられる再会劇。
ベティを力強く抱きしめているのは、白銀の髪の青年――と思いきや女性のようだ。
「あぁぁ、オーマイガッ……。
アタシは神を信じちゃいねーが、今回ばっかりは大感謝セールだぜぇ……!!」
「誰?」
直球のシエテの質問にベティは微笑む。
「ベティのおば様、ガーネットさんですよぉ。
おば様、おば様、ベティも会いたかったですぅぅ……」
ずび、と鼻をすすったガーネットは立ち上がり、ヒューラン達に向き合う。
「テメェらがうちのベティを救ったのか?」
「ついでやけどな」
「いやもう何でもいい。マジ超絶サンクスだぜ。
テメェらが門番に殴られてくれたおかげでアタシは隙をついてここに忍び込めたからな」
見てたんかい、と思わず突っ込みたくなるが黙っておく。
「ほんじゃ、こいつらのことはお前に任せてえぇか?
ワイらは別件がまだ残っとるねん」
「あぁ、任された。
ベティ、――と、そこのレディはアタシについてきな」
「あらありがと。
ね、お兄さん、よかったら今度遊びましょ。これ私の名刺♪」
「くっくっく。そいつぁ楽しみやな」
「実に不純だ!!
ヒューラン、君の従者はいつもいつも……」
「……耳にタコができそうだ」
ガーネット達と別れ、ヒューラン達はハイネのもとへ急ぐ。
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