旧ダインスレフの街には、わずかばかりの人間が点在していた。
皆薄汚れた身なりで、やせ細って疲れ切った顔の女性や、曰くありげな葉をくゆらせる男達が、通り過ぎていくハイネ達をジロジロと観察している。
街の奥にそびえる地上5階建てほどの大きな白い建物。
ハイネが知る国立医療機関と少々風貌が異なるが、周辺にそれらしい建物もない。あれが『学会』だろう。
近づこうとしたところで、武装した門番達に止められる。
「ここから先は関係者以外立ち入り禁止だ。
速やかに立ち去れ」
「あぁん? やろうってのか?」
銃に触れようとしたヒスイを、ヒューランが止める。
「人を探している。
ここにいるかもしれない。話を聞かせてほしい」
「そ、そうだぞ!!
貴様らの所業はお見通しだ!!
か弱き乙女達を攫って一体何を……」
「おい、こいつら連れていけ」
当然、抗議しようと身を乗り出したヒスイとアメリだったが、それでもヒューランは首を横に振る。
「ちょ、ちょっと待ってーな!!
うちはレムリアさんに言われて……――」
「よい子はおねんねしてな」
その言葉を最後に、ハイネの意識が途絶えた。
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