新しい世界。
ここは、ハイネの世界から10年ほど先の未来のようだった。
前の世界よりも若干時間軸が訂正されたようだが、それでも未来である事に変わりはない。
実は故郷にあっさり帰れたかもしれないだの、本当は全部夢だっただの、淡い期待もあったものだが、やはり遠い世界に来てしまった事は現実らしい。
そうだ、カイヤやレムリアに連絡をとろう、とハイネは懐から懐中時計を引っ張り出したのだが、時間を刻んでいるだけで通信機器の役目を果たしてくれない。世界を移動した衝撃で壊れたのだろうか。
ため息を1つ吐いてから、ハイネは男二人組に問う。
「ここから青の国の王都ってどうやって行けばいいか知っとる?
多分ここ、近くよね?」
それを聞いたヒスイとヒューランは、またも顔を見合わせる。
「嬢ちゃん、頭でも打ったんか?」
「は?」
突然脳の心配をされて腹が立ったが、ヒューランがぼそぼそと理由を語る。
「青の国は、もう15年前になくなった。今は“碧の国”だ」
「え?! なくなった?! 青の国が?! ヘキの国ってなに?!」
矢次早の質問に答える前に、ヒスイは近くに広げていたテントへとハイネを案内した。
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