寒空に赤い星が瞬いている――……。
分厚い雪雲さえも貫く、禍々しい光。
昼も夜も関係なく、同じ位置で地上を見据えている。
聖都アルマツィアをぐるりと一周囲む国壁は、無数に空いた穴から銃口を覗かせている。
正門に立ったハイネ達をじっと見つめるかのようだ。
「医者を探している?」
ハイネを背負うユーファが事情を説明すると、門番達はお互いに顔を見合わせた。
「あいにく、聖都は今流れ者の旅人は受け入れていない。
悪いが他を当たってくれ、若いの」
「よく言うわホンマ。
お宅らの兵士に戯れに殺されかけた俺達の身にもなってくれや。
何なら言いふらしてもえぇねんで。
アルマツィアの聖騎士は一般人も見境なくブッ殺そうとする蛮族やーってな!」
むぐぐ、と門番達は顔をしかめる。
神に剣を捧げたアルマツィア兵の品格が問われれば、子供のイタズラでは済まされない。
「まったく饒舌な男だな。いいだろう、特別だぞ。
ちょうど『聖女の癒し手』の時間が始まる頃だろう。
広場に行ってみるといい。
どんな傷も一瞬で治してしまう加護を受けた聖女がいるだろうよ」
「そいつぁいい話を聞いた。行ってみようや」
ハイネ達4人は、重い大扉の向こうへと足を踏み入れる。
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