カレイドヴルフ国立魔法学校――……


そこには3つの専攻がある。

魔法の基礎知識と経験を積む事を目的とした精霊術科。
より繊細な魔力の使い方と特殊な魔法を学ぶ召喚術科。
そして、科学分野の知識と技術を身に付ける錬金術科。

ハイネは元の世界で錬金術科に在籍していた学生だ。
今、この世界の魔法学校でも、基本的なカリキュラムは変わらないようだ。



「ここが、父さんと母さんがいた場所……」

校舎を見上げるトキは呟く。

「すっごい! こんなに大きい学校があるなんて!
お城と同じくらい大きいじゃん! いいなぁ~」

「アキくんなら、ここ入学できるかもしれへんね!」

はしゃぐアキの頭を撫でつつハイネは笑顔だ。
目の前にそびえ立つ校舎は、彼女が元々通っていた学校よりもより洗練された佇まいをしている。20年の間に改装工事でもしたのだろうか。

「そいや、アトリの奴が昔、しばらくこの学校に留学してたっけな。
ここって頭えぇ学校なんやろ? ハイネも実は天才少女ってか?」

「錬金術科の優等生やったんやで、うち!
テストはいつも1位!」

ハイネは得意げに腰に手を当てる。
とはいえ、それも20年前での話だ。今のこの学校は、より一層発展しているのかもしれない。



学校の受付を訪ねると、ニコニコと愛想のいい淑女が座っていた。

「すみませーん、『クレイズ・レーゲン教授』に会いたいんですけど……」

ハイネが声を掛けてみると、受付係は「あらまぁ」と微笑んで手元の書類に目を落とす。

「そろそろいらっしゃる頃なんじゃないかって、『弟先生』とお話してたんですよぉ。
クレイズ先生は……えぇ、今は空き時間ですねぇ。研究室にいらっしゃるんじゃないかしらぁ?」

女性は校内の案内図をゆったりとした仕草で差し出してくる。
彼女が指差した場所は、ハイネが知っているカイヤの研究室と同じ位置のようだ。

「おおきに! 行こ、みんな!」

仲間を引き連れ、ハイネは研究棟へと足を運ぶ。



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