「ね~え~……なんでぼくがユーファと買い出しなの?」

「そらお前、男だからやろがい!
力仕事はこっちの担当やん?」

「姉ちゃんの方が力あるのに……」

ユーファとアキはニヴィアンの商店を渡り歩く。

「お前ってほんま、姉ちゃん姉ちゃんって、ベッタリやなぁ」

「別に! ぼくはお前と行動するのがイヤなだけだし」

「おっ、この生意気坊主め~!」

「もー!! 真っ直ぐ歩けよバカ王子!! ほんとウザい!!」

がはは、とユーファは笑いながら、辿り着いた先の店で野菜をカゴに放り込む。

「アキ坊、肉とってこい肉。こんな葉っぱばっかじゃ腹の足しにならんて」

「え~? 姉ちゃんに肉切らせるとなんか怖いんだよ、顔が……」

しょうがないなあ、とアキは店内をキョロキョロ見回す。
一番奥の棚に目的のものを見つけ、歩み寄る。
アキの身長だと若干手が届かない。
うーん、と背伸びしたところで、ヒョイ、と体が浮いた。

「うわっ、なに……」

振り返ろうとした瞬間、布袋のようなもので視界が遮られた。





「おーい、アキ坊~。どこまで行ってん~?
肉ならここに……」

商品棚に近づいたユーファは、目を見開く。


――アキの靴が片方、床に転がっていた。



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