「ね~え~……なんでぼくがユーファと買い出しなの?」
「そらお前、男だからやろがい!
力仕事はこっちの担当やん?」
「姉ちゃんの方が力あるのに……」
ユーファとアキはニヴィアンの商店を渡り歩く。
「お前ってほんま、姉ちゃん姉ちゃんって、ベッタリやなぁ」
「別に! ぼくはお前と行動するのがイヤなだけだし」
「おっ、この生意気坊主め~!」
「もー!! 真っ直ぐ歩けよバカ王子!! ほんとウザい!!」
がはは、とユーファは笑いながら、辿り着いた先の店で野菜をカゴに放り込む。
「アキ坊、肉とってこい肉。こんな葉っぱばっかじゃ腹の足しにならんて」
「え~? 姉ちゃんに肉切らせるとなんか怖いんだよ、顔が……」
しょうがないなあ、とアキは店内をキョロキョロ見回す。
一番奥の棚に目的のものを見つけ、歩み寄る。
アキの身長だと若干手が届かない。
うーん、と背伸びしたところで、ヒョイ、と体が浮いた。
「うわっ、なに……」
振り返ろうとした瞬間、布袋のようなもので視界が遮られた。
「おーい、アキ坊~。どこまで行ってん~?
肉ならここに……」
商品棚に近づいたユーファは、目を見開く。
――アキの靴が片方、床に転がっていた。
-49-
≪Back
|
Next≫
[Top]
Copyright (C) Hikaze All Rights Reserved