青の国の副都は相変わらずニヴィアンという大きな街のようだ。
ハイネの知るそれよりも更に整頓された美しい街並みだ。
水と光をふんだんに利用した街中の装飾が目立つが、それにどれほどの意味があるのかはよくわからない。

「……なんか、ギラッギラしとるね、この街」

時々目につく、まるで何らかの神を象ったかのような美しい男性の石像。
見上げるアキがさぞ可笑しそうにケラケラと笑っている。

「シンハおじさん美化しすぎだよね、これ~。
母さん連れてきたらどんな顔するだろ!」

「シンハおじさん?
ここの公爵と知り合いなんか、アキ坊?」

「だっておじさんだもん」

どういう事?とハイネとユーファがトキの顔を見る。――まるで本物の兄妹かのように息ぴったりだ。

「ニヴィアン公シンハ様は、母さんのお兄さん……
つまり、私やアキからみると『伯父』にあたる方なんです」

「って事は、やっぱトキちゃんとアキくんってお嬢様とお坊ちゃまなんや~?!」

「でも写真でしか見た事ないよ、ぼく。姉ちゃんは会った事あるんだっけ?」

「はい。一度だけ。アキが生まれる前だったので……10年くらい前でしょうか」

横で聞いていたユーファはニヤニヤと笑っている。

「なるほどなー。俺のカンは正しかった!
こんな美人、ただの田舎娘とちゃうわ思ってたんやで、トキ~♪
で、どや? 俺の嫁にならん?」

「気色悪いのでやめてください」

バッサリと切り捨てられ、ガクリと項垂れるユーファ。
しかし瞬時に切り替えて顔を上げる。

「魔法学校はカレイドヴルフ王都の方やったな。
少し距離があるが、どうする?」

「せやなぁ。これから行っても夜遅くなってまいそうや。
さすがにそれは失礼やし、ここで一泊しよか?」

4人は近場の宿屋に入る。
その様子を陰から覗き見ている者達には気付かない……――。



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