青の国と緑の国の境目を渡る草原地帯。
西の風は潮の香り、東の風は土の香りを含んでいる。
畑で作業をしている者達は、ユーファの姿に手を振る。
「ユーファ様ー!! お気をつけてー!!」
「ばんざーい!!」
国中に発表された国王の声明でユーファが旅立つ事を知った住人は、満面の笑みで激励を送ってくる。
「実際は罰としてお城を追い出された……なんて知ったら、皆さんどう思うんでしょうね」
「トキ~……お前ほんま容赦ないなぁ……」
父から貰った地図を眺めるアキはハイネの裾を引っ張る。
「ねぇ、そのクレイズって人に会ったら、ハイネが元の世界に戻る方法がわかるの?」
うーん、とハイネは唸る。
「どーやろな……。
うちがこの世界に来る時に使った機械を、こっちでも作る事ができるんなら、もしかしたら……やけど」
「せや。もっとハイネの世界の事、教えてや?
ココとそっくりや言うても、やっぱいろいろちゃうんやろ?」
「うん。まずユーファのおとんはこっちにはおらんし、アンリ先生とマオリ先輩も結婚しとらん」
「父さん早く結婚すればいいのに。最近腰が痛いらしくてぼくと遊んでくれないんだ。
もっと父さんが若かったら、キャッチボールとかして遊べるのに」
元の世界のアンリを思い浮かべて、ハイネは思わず腹を抱えて笑う。
「もし“向こう”と連絡が取れたら、うちが言っといたるわ!
はよ結婚しろーってな!」
「ハイネさんったら、まるで父さんの母親みたい」
和やかな会話を交わしながら、4人は青の国の関所までやってくる。
「おっ。これはこれはユーファ王子。噂には聞きましたよ。旅をなさるとか」
関所の番人が書類を書き込みながら声をかけてくる。
「そう言ったら聞こえはえぇけど、オモリみたいなもんやて。このガキ共のな」
「ガキ言うな!! ユーファのおかんに言いつけるで!!」
おお怖い怖い、とユーファは笑う。
いってらっしゃいと番人に送り出された先は、もう青の国の領地だ。
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