「……まぁ、こうなるとは思っとったよ」
ハイネ、そしてトキとアキは牢に入れられていた。
「姉ちゃん、ぼく達どうなるの? 死刑?」
「……不敬罪が成立すれば、そうなるのかも……」
ひいっ、とハイネとアキは震え上がる。
「ごめん……いやごめんじゃ済まないかもしれんけど……。
トキちゃんとアキくんを巻き込んでもうた……」
床にぺったりと座り込むハイネは涙目で俯く。
「も、もし死刑になるんなら……うちだけにしろって言うから……ほんまに……。
トキちゃんもアキくんも何も悪くないし……」
「大丈夫です、ハイネさん。いざとなったら私が執行官を素手で倒しますから……」
「姉ちゃん、別の罪で捕まるよソレ……」
すっかり陰鬱な気持ちに沈む一行のもとに、速足の音が近づいてくる。
「あぁ、ここにおったか!
いやほんまにすまん! 俺がどうにかお前達を助けるさかい……」
ユーファだ。慌ててやってきた彼は顔に青痣を作っていた。
「なに、どしたん、そのアザ……」
「親父とアトリに一発ずつ殴られてきた」
ははは、と笑った彼は、すまなそうな顔に切り替える。
「当たり前やけど親父がブチ切れてお前らをここに放り込んでもうたわけやけど。
今ちょっと、お袋がそれ以上にブチ切れてて、親父に交渉できる隙がないんや……。
アトリはショックで寝込んでまうし、城中が大混乱しとって……」
「おいユーファ、もしぼく達が死刑になったらどーしてくれるのさ?
お前を助けたのはぼくらなんだぞ」
「わーっとるがな!
約束する。絶対解放する。ちゃんと礼もするから。もう少しだけ待っとって!」
「私達を見捨てたら末代まで呪いますから……」
「堪忍してや~!」
ユーファは急ぎ足で来た道を戻っていく。
地下牢にいても、地上の喧騒が聞こえてくるような気がする。
ハイネ達にようやく声がかかったのは、ユーファを連れ戻して三日ほど経った頃だった。
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