「あ~、助かった。ほんま助かったわ。おおきに、ハイネ」
無事に牢獄から解き放たれたユーファは伸び伸びと体を反らして外の空気を吸い込む。
「くれぐれも軽率な行動はするな。次はこうもうまくはいかないぞ」
牢の鍵束を手にするゼノイは釘を刺すように警告する。
未だ状況の整理が追いついていないロードは困ったようにユーファの顔を覗き込む。
「ユーファ様、緑の国まで私がお連れいたしますが……
こ、この者達はいかがなさいますか……?」
ふむ、と顎に手をやったユーファは、何か閃いたようにニンマリと笑う。
「こいつらも一緒に連れていく。頼むわ、フリューゲル公。
な? ハイネ達も来るやろ?」
げっ、とあからさまにハイネは首を竦める。
「あ、アカンて~。だってユーファのおとん、おるんやろ?
うちの事知ったらどんだけ怒るか……」
「なーに、そうは言うても俺を助けた恩がある。悪いようにはせんて。
って事で一緒に来いや。もちろん、トキとアキ坊もな!」
「その呼び方やめてほしいんだけど」
不満そうに頬を膨らませるアキの頭をユーファはぐりぐりと撫でまわす。
ゼノイと別れ、ブランディア王都の末端にある宿屋で一泊部屋を借りる。
夜が明けると同時に、ロードはユーファ達を緑の国への帰路へ導いた。
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