ジジ、ジー・・・
動きを止めた機械たちがバランスを保てずに地面に次々と転がっていく。
剣撃でボコボコにへこんだ機体は火花を散らしている。
「なんや今の・・・」
唖然とするほど呆気なく始末された機械達。
恐々と地下から出てきたジストはその光景に驚いた。
「なんだかすごいものが出た!
何かはわからないが!」
「お前の血筋が成す力だろう。
幻術で機械の行動が一斉に混乱したらしい」
ごろ、と倒れた機体を転がして様子を見るが、再起動する様子はない。
「あの、メノウさん。
こいつの装甲をちゃちゃっと剥がせたりします?」
カイヤに頼まれ、メノウは首を傾げつつも機械の外殻を力任せに剥がす。
バキ、と鉄板のような殻が外れると、内部の回路が露わになった。
「どれどれ~?
・・・あ、やっぱり!」
無数の導線を手早く取り外してみると、中枢となる部分に丸い部品が埋め込まれていた。
カイヤはそれを取り外す。
「なんやそれ」
「コアですよ。心臓みたいなものです。
動力何かな~って観察してたんですが、やっぱり魔力でしたね。
しかもかなり濃い濃度!
これ、全部集めれば元の世界に戻るだけの魔力量になるかも!」
「でかした、カイヤん!
じゃあ全部いただいちゃおうよ!」
それぞれ手作業で丁寧に外殻を取り外していく。
単調な作業だが、なんせ数が多い。
全て剥ぎ終わる頃には、夕刻をまわっていた。
「よし、全部回収完了!
魔力も確保できました!!
さぁ、帰りましょう、元の世界に!!」
一行は最終便の汽車に飛び乗り、レーヴァテイン跡を去る。
少し遅れてやってきた男女の2人組。
「なぁによこれぇ!!
私の可愛いマシンちゃん達がぁ!!!嘘でしょう?!」
「だから言ったじゃないですかぃ?
ローテク世界から渡ってくるような物好きが、そう簡単にやられないってねぇ。
むしろ、都合のいい土産として使われたのでは?
ドクター・アドに」
「相変わらず顔に出さない男だわねぇ。
もういいわ、帰りましょ。帰って可愛いダーリンマシンちゃんを作るんだから」
「・・・そんなだから結婚できないんですよ、姉さん・・・」
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