『世界』というものは無数に存在する。
無数、無限、星の数よりたくさん、たくさん。

その1つ1つは別々の歴史を刻んでいる。

ある歴史では、空さえも掴もうと、翼を持つ船を生み出した。
またある歴史では、そもそもヒトと呼べる存在さえまだ生まれていない。

近いようで遥か永久の彼方。
遠いようで指先1つの隣人。

私はずっと、殻の外側から、手のひらの中の無数の箱庭を見つめている。
時として過去や未来を見つめ、迷える者を導く光を送り込む。

たった1つの希望だけを抱いて孤独に歩き続けた、泣き疲れた魂に。

覆い隠した未練を抱いて眠りについた、不器用な魂に。

束の間のゆりかごに揺られて己を知った、不安定な魂に。

決して自らは触れられない未来を胸に抱き、頂きから旅立った魂に。


そしてまた、広い星の海の中を彷徨う小さな魂に手を差し伸べる。



――私が君を必ず守ろう。君のお父さんには、随分と世話になったからな。


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